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アジャイル組織への変革を成功に導くScrum@Scaleとは?

2024.09.18

Scrum@Scaleは、組織全体のアジャイル化を促進するフレームワークとして注目を集めており、その研修や導入事例を通じて、多くの企業がスクラムを効果的に拡大し、チーム間の連携を強化する方法を学んでいます。
このブログではScrum@Scaleの概要と研修について紹介します。

Scrum@Scaleとは

Scrum@Scaleは、スクラムの共同考案者であるJeff Sutherland博士を中心に、世界中のアジャイルコーチが協力して確立したフレームワークです。Scrum@Scaleは、アジャイルを組織全体に拡大し、効果的にスケーリングするための方法論を提供します

Scrum@Scaleの核心は、スクラムチームを「フラクタル構造」として組織化することにあります。これは、組織の一部分を切り取って見ると、全体と同じスクラムの構造になっているという考え方です。この構造により、スクラムチームを無限に拡張することが可能となり、「チームレベル」「プロダクト・サービスレベル」「事業レベル」といった異なる規模の領域に同じようにスクラムを適用できます

フレームワークの中心となるのは、プロダクトオーナーサイクル(POサイクル)とスクラムマスターサイクル(SMサイクル)の2つのサイクルです。POサイクルは「組織が何をすべきか(What)」を調整する役割を果たし、組織全体のビジョンとバックログの方向性を揃えることに焦点を当てています。一方、SMサイクルは「どのように実現するか(How)」を扱い、継続的な改善と障害の除去を担当します

Scrum@Scaleの特徴的な点は、単にチーム数を増やすだけでなく、チーム間の連携や情報共有を重視している点です。これにより、組織全体がアジャイルに機能し、市場の変化に迅速に対応できる体制を構築することが可能となります

また、Scrum@Scaleは単なるソフトウェア開発方法論にとどまらず、組織開発の手法としても注目されています。このフレームワークを導入することで、トップダウンとボトムアップのバランスを取りながら、組織全体の方向性を揃え、各チームの自律性を保つことができます

Scrum@Scaleの実践には、プロダクト視点とプロセス視点の両方が重要であり、これらの連携がスクラム開発の本質であるとされています。この考え方は、従来のウォーターフォール開発とスクラム開発の根本的な違いを示すものでもあります

Scrum@Scaleは、大規模な組織から中小企業、さらには行政機関まで、様々な規模と種類の組織に適用可能なフレームワークとして、アジャイル開発の分野で重要な位置を占めています

組織変革へのインパクト

Scrum@Scaleは、組織全体のアジャイル化を促進するだけでなく、組織文化や構造に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。このフレームワークの導入により、従来のトップダウン型の意思決定からより柔軟で適応性の高い組織構造への移行が促進されます

特に注目すべきは、Scrum@Scaleが組織のビジョンと各チームの活動を効果的に連携させる点です。企業の戦略的ビジョンが明確化され、それが各レベルのバックログに反映されることで、組織全体の方向性が統一されます。これにより、中間管理職の役割が変化し、従来の「板挟み」状態から脱却し、より戦略的な役割を担うようになる可能性があります。Scrum@Scaleの実装は、単なる開発手法の変更を超えて、組織全体のマインドセットと運営方法の根本的な変革をもたらす潜在力を持っています。

Scrum Inc.認定Scrum@Scale研修で学べること

Scrum@Scale研修では、参加者が実践的な知識とスキルを身につけられるよう、様々な学習が行われています。
以下に主な研修の要素を示しています:

  • 講義とディスカッション:Scrum@Scaleの理論と実践について、講師が詳細に説明し、参加者間のディスカッションが行われます
  • グループ演習:参加者はチームに分かれ、Scrum@Scaleの概念を実際に適用する演習に取り組みます
  • 事例研究:実際の企業におけるScrum@Scale導入事例が紹介され、成功事例や課題について学びます
  • ロールプレイング:アジャイルな組織におけるプロダクトオーナーやスクラムマスターの実践をシミュレーションします
  • Q&Aセッション:参加者が自身の組織や状況に関連した質問をする機会が設けられています
  • ネットワーキング:休憩時間や昼食時に、参加者同士が経験を共有し、人脈を広げる機会があります
  • 実践的な計画立案:参加者は研修の学びを踏まえ、自身の組織にScrum@Scaleを導入するための具体的な計画を立てます
  • 招待講演:Scrum@Scaleを成功裏に導入した企業のキーパーソンをゲストスピーカーとして招待し、特別講演が行われます

この多様な学習アプローチにより、参加者はScrum@Scaleの理論と実践的な適用方法を深く理解し、自身の組織に持ち帰って実践できるスキルを身につけることができます。

Scrum@Scale研修の対象者

Scrum@Scale研修は、組織のアジャイル化を推進する幅広い役職の人々を対象としています。主な参加者には経営者、事業の責任者、マネージャー、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者などが含まれます。研修の前提条件として、2日間のRegistered Scrum Master™(RSM)コースの修了または同等のスクラム実務経験が必要です。この研修は、ソフトウェア開発からR&Dまで幅広い分野で適用可能な知識を提供し、大企業からスタートアップ、行政府まで様々な組織の方が参加しています。

受講者の声

Scrum@Scale研修の受講者からは、様々なフィードバックが寄せられています。

  • 変革を自ら起こすことの重要性を再認識し、新しい概念を丁寧に学べた
  • 研修を通じて自社の取り組みの正当性を確認でき、改善点も明確になった(エンジニアリングマネージャー)
  • 新しい概念が分かりやすく伝えられ、参加者と気づきを得ながら学ぶことができた(デジタル変革担当)
  • 理論だけでなく実践的なスキルも身につけられ、自組織へのScrum@Scale導入に向けた具体的な計画を立てる機会を得られた

次回Scrum@Scale研修は 2024/10/23(水)~25(金) に開催

Scrum Inc. Japanは、2024年10月23日から25日にかけて次回のScrum@Scale認定研修を開催します。この3日間のコースは、東京のKDDI Digital Gateで行われます。ぜひご参加ください!

執筆:山本 尊人