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スクラムにおけるプロセス効率 – なぜ重要でどうやって計測するのか?

2018.06.04

Dr. Jeff Sutherland
(翻訳:和田 圭介、梅澤 友紀)

原文:https://www.scruminc.com/process-efficiency-scrum-matters-measure/

スクラムチームがストーリーを遂行するプロセス効率(スプリントにおける付加価値作業時間の比率)は、チームのパフォーマンスを測る最も重要なメトリクスです。
プロセス効率が倍以上になれば、1スプリントにおけるチームのベロシティは簡単に倍になるからです。
あるインドのチームからどのKPIを使うべきかと尋ねられた際、私は彼らにプロセス効率だけをKPIにすべきだと伝えました。
彼らは3日以内にプロセス効率を80%にまで向上し、4日目には、2週間スプリントのすべての仕事を完了しました。

この事実は、IEEEの論文にも書かれています。
Scrum and CMMI – Going from Good to Great: Are You Ready Ready to Be Done Done C. Jakobsen and J. Sutherland, in Agile 2009, Chicago, 2009)

プロセス効率は、「 実際の作業時間 ÷ 仕事の開始から完成までのカレンダー上の時間」として定義されます。
必要なデータは、スクラムの管理ツールで簡単に手に入ります。
我々が知りたかったのは、スプリントの実際の時間におけるストーリー遂行のためのプロセス効率の平均値でした。
私たちは、スクラムチームのレポートのためのKPIとして時間を用いることをやめたいと思っていました。
なぜなら、Rally(CA社のスクラム管理ツール)を使っている60,000以上のチームにおけるデータが、最も遅いチームが時間を使っていることを証明したからです。
最も早いチームは、小さなストーリーを用いており、タスク割も時間による見積りもしていませんでした。
では、どうやったらチームのプロセス効率を見積もることが出来るでしょうか?

一つのストーリーに対するプロセス効率を計算する簡単な方法があります。
もしチームのベロシティが50でストーリーが5ポイントであれば、そのストーリーに対する実際の作業時間は、あるスプリントの 「5分の50」として見積もることができます。
もし、ストーリーがプリントの最初に始まり、1週間スプリントの最後に終わったのであれば、ひとつのストーリーが5日間スプリントのうちまるまる5日間を使ったことになります。
「5分の50」を1(スプリント)で割れば、つまり、プロセス効率は10%となります。もしこのプロセス効率が20%以上(10%の倍以上)になれば、ベロシティは2倍になります。

Scrum Inc.のWebサイトを担当するスクラムチームはプロセス効率の計算を実践していますが、2,3の疑問が浮かび上がってきます:

1.分母にビジネス上の作業期間だけをカウントするか?週末はどうすべきか?
2.割り込みバッファーを用いるか?割り込みをどう扱うか?
3.Webサイトチームのプロセス効率は100%を超える。なぜなら、チームは多くの小さなストーリーをもっていて、非常に早く完了しているからだ。
我々は、大きなストーリーをより大きくカウントする加重平均を用いるべきでないのか?

上記の検討を実践したら、新たなアプローチに関するブログをまた書きたいと思います。
プロセス効率のメトリクスの実践方法について議論することで、私のスクラムチームは、バックログの管理とストーリーの遂行により多くの規律をもたらすことができました。

プロセス効率を向上するために、チームはマルチタスクをやめ、スウォーミング:一個流しのパターン(ひとつのストーリーにチームが一丸となって取り組むこと)を実践しなければなりません。
このパターンはストーリーを完成するプロセス効率を劇的に増やすことで知られ、トヨタ生産方式に由来します。

最近、アジャイルチームのプロセス効率に関する博士論文に取り組んでいるFrank Verbruggenに出会いました。
我々とのミーティングのあとに彼が書いた素晴らしいブログもご参考ください。