バーンアウトからバランスへ -Twice the Energy with Half the Stress:ストレスを半分に、エネルギーを2倍に
2024.12.04
2024.12.04
この夏、私はスクラムの共同開発者であり、真のパイオニアであるジェフ・サザーランド博士のご自宅に訪ねるという機会に恵まれました。 私が持っていた目標はただ一つ:これまでのバイオハッキングの旅で得た洞察を彼に共有し、ジェフの考案した新しいフレームワークであるTEHS(Twice the Energy with Half the Stress:ストレスを半分に、エネルギーを2倍に)について意見交換するためです。
私たちはジェフの妻であるArlineが手入れした緑の美しい庭で、彼が用意してくれたオープンサンドを分け合いました。夏の終わりの温かな日差しが彼の鋭い青い目を照らす中、AI、バイオハッキング、スピリチュアリティ、周波数ヒーリングといった多岐にわたる話題を語り合いました。83歳を迎えたジェフは今もなお洞察力に満ち、私は彼と深く話ができたことに喜びを感じました。
TEHSについて語る前に、なぜ私がジェフの元を訪れようと思ったのか、その経緯をお伝えしたいと思います。(TEHSについて知りたい方は、飛ばして読んで下さい)
今から3年前、私はグローバルなアジャイル変革プロジェクトをリードし、3大陸にまたがるチームを調整しながら、1年間にわたるプロジェクトに取り組んでいました。 プロジェクト終了時にはすっかり消耗していました。 健康を優先していて、周りにサポートしてくれる人がいたにもかかわらず、私の健康は悪化し、家庭も崩壊し始めました。毎朝外に連れ出してくれた愛犬と、親しい友人がいなければ、私はどうなっていたかわかりません。
この話をするのは、バーンアウトが私たちの身近な問題だからです。日本でも多くの人が経験しているにもかかわらず日本ではメンタルヘルスが話題となることは多くありません。しかし、日本の自殺率の高さを考えると、この話題についてもっとオープンに議論してもいいのでは?と思います。
このプロジェクトは、スクラムとは別のさまざまな理由で困難を伴いましたが、その経験から「アジャイルコーチとして、本当にこれがスクラムの目指すべき姿なのか?」と自問自答するようになり、その問いが私を3年にわたる探求の旅へと導きました。幸せについての講義やリーダーシップの本に没頭し、経験豊富なメンター、セラピスト、コーチと共に学びました。そしてこの旅路は、ヨガ、呼吸法、瞑想、バイオハッキング、周波数ヒーリング、先祖の知恵といったウェルネスプラクティスに行き着き、皮肉にも、再びスクラムに戻っていくことになりました。
スクラムには私たちの仕事だけはでなく、私たちのウェルビーイングも向上させる力があると信じています。スクラムは少ない労力で大きなインパクトを生むことを目指していますが、その原則は私たちの「内なるオペレーティングシステム」にも応用できます。
システム思考は、私たち自身とその環境を孤立したパーツではなく、相互に関連した全体的なシステムとして見るよう促します。私はまずメンタルヘルスの探求を始めましたが、すぐに身体や感情的な健康、幼少期の経験、環境がすべて深く結びついていることに気づきました。多くのバイオハッカーにとって、これは身体、心、感情が相互に関連していることを理解し、どの一部分を最適化するにも全体を見渡す必要があるということです。そのためには、科学的アプローチを用いて最新の科学技術を活用し、健康寿命とパフォーマンスの向上を目指します。同様に、スクラムもチームや組織を一体としたシステムとして捉え、価値を生むために最大のボトルネックに対処し、共有目標のもとで調整し、継続的な改善を促進します。スクラムは、経験的な実験と進歩へのコミットメントを通して、私たちにインパクトをもたらす力を与えます。
私がジェフと会ったとき、彼は新しいフレームワークであるTEHSについて執筆中でした。TEHSは、持続可能な生産性とウェルビーイングに重点を置き、現代人の速いペースで多大なストレスがかかる環境で個人が適応できるように設計されています。TEHSの各原則は、リソースを効果的に管理し、バーンアウトせず成長するために、我々が考えるべきいくつかの点を示しています。ここでは、その主な要素をご紹介します
従来の働き方では、1時間にできるだけ仕事を詰め込むことを生産性と捉え、その量を重視しますが、TEHSはエネルギーレベルの管理に焦点を移します。エネルギーの可用性を優先することで、持続可能な働き方が可能になり、バーンアウトを回避します。
スクラムにインスパイアされたTEHSは、自分にとってインパクトの大きい活動に焦点を当てます。これにより、度量なる多くの意思決定による労力のムダを防ぎ、重要なことに集中し、必要なエネルギーを確保できます。
TEHSは、生活の中に自然な休息を取り入れることを推奨します。休息を取っている瞬間は体が自然のリズムと調和し、回復と再生を促進することで、結果的にバーンアウトを防ぎ、1日中生産性を維持できます。
スクラムのフィードバックプロセスと同様に、TEHSはデータに基づくふりかえりを奨励します。日々のルーチンを評価し、実際の成果に基づいて調整することで、個人のウェルビーイングにおける継続的な改善のサイクルを構築します。
TEHSは自分自身を心、体、環境の相互に関連したシステムとして捉えます。1つの領域を最適化する際には、他の要素を含めたバランスを維持することで、持続可能なウェルビーイングとレジリエンスが実現されます。
アジャイルの実践者やリーダーにとって、TEHSは新しい視点を提供します。TEHSは、アジャイルの中心にある価値の適応力、持続可能性、継続的な改善を反映しており、これらの原則を個人の幸福とパフォーマンスにまで拡大しています。アジャイルがチームに変化と適応力を与えるように、TEHSは人々に健康意識を育み、日常を最適化し、回復力と創造性をもって課題に立ち向かう力を与えます。それは、パフォーマンスと幸福が共存する生活を創造することであり、成功はアウトプットだけでなく、エネルギーの質と持続性によっても測られるものです。
私はヒーリングジャーニーを通じて、自分の「ありかた」がいかに重要かを考えるようになりました。これが信念、パーパス、より高い目的と一致するとき、人生を変える力を与えてくれると信じています。食事、運動、睡眠、そして環境が私たちのエネルギー、気分、精神に深く影響します。これまでの健康に対する考え方を改め、セルフコンパッションを持ち、自分に優しく話しかけることで、課題に対してより明確な視点と強いレジリエンスを持って取り組むことができます。このマインドセットを中心に据えることで、私たちは日々の要求に応えるだけでなく、この世界で繁栄することができるのです。
キャロル・ドゥエックは「成長することは、単なる存在であることよりも素晴らしい」という言葉を残しました。
成長はただの改善ではなく、自分への思いやりを持って旅を受け入れることです。痛みに気づき、優しさを持って接することで、周りの世界にもその思いやりを広げることができます。自分を癒すことで、周囲の人々も癒されるのです。
今日の選択が将来の生活の質を決めます。スクラムもTEHSも「始めるべきか?」ではなく、「いつ始めるか?」です。
近日中に、ジェフとのウェビナーを開催します。TEHSの原則を詳しく解説し、私たちの働き方、そして生き方にどのような変革をもたらすのか、一緒に探求していきましょう。
著者;クロエ・オニール
公開日;2024/12/04
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