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プロダクトオーナーって、どんな仕事?

2025.01.24

スクラムにおける役割のひとつ、プロダクトオーナー。名前は聞いたことあるけど、どんな仕事をするのか、イメージがわかない方もおられるのではないでしょうか。
この記事では、プロダクトオーナーの仕事内容や求められるスキル、注意すべき点について見ていきます。

プロダクトオーナーの役割とは?

スクラムの考案者2名によってまとめられた、スクラムのルールブックである、スクラムガイド(2020年11月版)には「スクラムチームから⽣み出されるプロダクトの価値を最⼤化することの結果に責任を持つ」、「効果的なプロダクトバックログ管理にも責任を持つ」とあります。

具体的にどういうことをするのか、というと、お客様がプロダクト・サービスを利用することで高い価値が得られるように、

  • 何を実現したいのか、ビジョンを策定する。
  • プロダクト・サービスのロードマップを作成する。
  • お客様のニーズを把握し、プロダクトバックログアイテム(PBI)を作成する。
  • お客様にとって価値の高い内容から提供できるよう、PBIに優先順位をつけ、スクラムチームと共有する。
  • 生み出したプロダクト・サービスを適時に市場へリリースする。

これらを行っていきます。

お客様やステークホルダなどからのニーズ・リクエストはプロダクトバックログ(=PBIのリスト)として管理されます。プロダクトオーナーはPBIを状況に応じ並べ替えたり、分割したり、スクラムチームに意図が正確に伝わるような表現にしたりと、価値の高いものをできるだけ早く提供できるよう、工夫しながら運用していくことが求められます。

プロダクトオーナーの起源

プロダクトオーナーという役割ですが、実はスクラムが考案された当初からあったものではありません。考案初期のスクラムでは、開発者のリーダー的立場である、チーフエンジニアがPBIを作っていました。
最初の数スプリントは順調に進んでいましたが、カイゼン適用のなどでスクラムチームのパフォーマンスが向上してくると、PBIの作成が追いつかなくなり、足りなくなるといった状況がしばしば見られるようになりました。チーフエンジニアはPBIが不足しないよう、お客様と対話もせずにPBIをせっせと作っていきました。
お客様のニーズに基づかないPBIをスクラムチームがどんなに早くカタチにしても、お客様からしてみれば不要なものでしかなく、価値を生むことはありません。こうなると、当然のことながらお客様の満足度は下がります。
この経験から、お客様のニーズを把握し、それをスクラムチームに伝え続けていく役割が必要だ、ということで誕生したのがプロダクトオーナーなのです。

プロダクトオーナーになるには?

では役割を果たすためには、どんな知識・スキルが必要でしょう?
スクラムガイドに明確な定義はありませんが、その役割から、少なくとも以下は有している必要があります。

  • ドメイン知識
    プロダクト・サービスの対象ドメインの知識がないと、プロダクトバックログアイテムの優先順位をつけたり、意思決定することができません。
  • コミュニケーションスキル
    プロダクト・サービスを作り上げていくには、お客様はもとより、社内外のステークホルダやスクラムチームメンバとも連携しながら進める必要があります。コミュニケーションスキルはそのための重要なスキルのひとつと言えます。
  • 決断力
    市場やお客様のニーズの変化へスピーディーに対応していくには決断力が重要です。伴うリスクを最小にしながらも、提供する価値を損なわないよう意思決定していくことが必要になります。

プロダクトオーナーを務める上での注意点

続いて、プロダクトオーナーを務める上で注意すべきことを見ていきましょう。

  • 時間の使い方
    プロダクトオーナーの時間の使い方として「50%の時間をお客様と過ごし、50%の時間をスクラムチームと過ごす」ことが大事と言われています。価値を届ける対象であるお客様が、何に困っていて、どういうことに価値を感じるのか、それを知るにはお客様と接することが必要です。
    一方で、知ったことをスクラムチームに伝えなければ、プロダクト・サービスというカタチにはなりません。お客様訪問や自社内の調整ばかりに時間がとられ、スクラムチームメンバとコミュニケーションがとれないような状況では、目指すゴール、ビジョンの達成は難しいでしょう。
  • スクラムチームでの振る舞い方
    スクラムチームは自己管理型であり、プロダクトオーナーが指揮命令(コマンド&コントロール)で動かすものではありません。
    スクラムチームがふりかえりなどを通じ、やる、と決めたこと以外を強制したり、PBIの実装の仕方にまで口を出したり、PBI内容へのメンバからの質問に対し、回答を拒否したりすれば、プロダクトオーナーは信頼を失い、スクラムが機能不全に陥ります。

プロダクトオーナーもスクラムチームの一員です。自身の役割を果たしつつ、お客様も巻き込みながら、チーム全員でゴールを目指し、価値あるものを届け続け、お客様の満足度向上につなげていきましょう。

詳しく知りたい、学びを深めたい方へ

ここまで、プロダクトオーナーの役割や必要となるスキル、そしてこの仕事の魅力について見てきました。
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執筆:齋藤 崇