スクラム導入のバックログ - 研修を受けた後、何から始めるべきか?
2025.11.25
2025.11.25

弊社の認定資格スクラムマスター研修を受講いただくと、少なくない方々が、是非スクラムを自分の会社や組織でもやってみよう、導入してみよう、と思われるのではないかと思います。
しかし、日常の職場・チームに戻り、日々の仕事に追われていくと、研修の熱気や興奮も徐々に薄れ、気持ちも萎んでしまい、結局アクションに繋げられない方も多いのではないかと思います。
せっかく学んだスクラムなので、是非とも実践したい、でも、どこから始めて良いのかわからない…
この記事では、そんな方々のために、学んだスクラムを日頃の仕事にどのように導入していくのかのヒントをお伝えします。
題して「スクラム導入のバックログ」、早速見ていきましょう。

スクラムはチームで実践するものです。
そのためには、何よりもチームメンバーの理解と協力、そして参加が必要になります。
しかし、チームメンバーの皆さんに、スクラムを理解してもらうために、皆さんが受講された2日間の研修の内容を全てお伝えするのは大変だと思います。
そんな時には、是非とも紙飛行機ゲームを試してみてください。
紙飛行機ゲームは、オンサイト形式(集合形式)の認定資格スクラムマスター研修で1日目の午前中(Sprint 1)に実施している、スクラムを体験できるゲームです。
仕事を短い期間に区切り、その中で計画、実行、振り返り、再計画を繰り返すことで大きな成果をあげる、スクラムの働き方を体験できます。
チームが共に体験することで、スクラムの良さを身をもって体感できると思います。
一時間程度の時間で、A4コピー用紙の束を一つ用意すれば簡単にできますので、是非ともお試しください。
あなたが現場で権限を持っているマネージャーなどではないかぎり、新しい取り組みには上長の許可が必要です。
ですので、あなたのチームでスクラムを導入する場合には、スクラムとはどのようなものであって、導入することでどのようなメリットがあるかを上長やマネジメントに端的に伝え、了承を得る必要があります。
スクラムとはどのようなものか?や、スクラムの効果については、研修でお示ししたスライドや、オンサイト形式の認定資格スクラムマスター研修の2日目の午前中(Sprint 3)で実施した「自分のスクラムを作る」で作成したポスターが役に立つと思います。
多くのケースでは、あなたは会社から何らかのミッションを帯びて、会社の費用で研修に参加されたのではないかと思います。
その報告の中で了承を得るのが最もリーズナブルでしょう。
また、スクラムの用語は横文字が多く、とっつきにくいところがあるので、復習をかねてスクラムイベントを簡素な日本語に置き換えてみて、その言葉を使って説明してみてください。
わかりやすい言葉を使って、上長の承認を目指してください。
次に、どんなプロジェクトや仕事からスクラムを始めるかを決めましょう。
一般的に、スクラムは以下のようなプロジェクト・プロダクトで実施することにより、効果をあげることができます。
また、慣れていない手法でプロジェクトを推進すると、トラブルが必ず発生します。
その影響を最小限にするために、上記のような要素は押さえつつ、
などを加味して決めると良いです。
なお、多くの現場では、新たなプロジェクトのみをスクラムで開始できるようなことはまれで、従来型のプロジェクトを従来の方法で実施しながら並行して進めるようなケースになるのではないかと思います。
こうした状況下においては、コンテキストスイッチの発生を極力低減させるために、月〜木は従来のプロジェクト、金曜日はスクラムによる新プロジェクト、などのようなやり方で進め、それぞれのプロジェクトに集中できる環境を作ってみてください。

紙飛行機ゲームでチームに興味を持ってもらえたとしても、上長に説明して一定の理解を得られたとしても、あまりに従来型の仕事と進め方が違うということで、敬遠されてしまうこともあるかもしれません。
こうした場合には、無理にスクラムの全ての要素を取り入れようとせずに、少しずつスクラムのエッセンスを仕事に取り込んでいくと良いと思います。
スクラムのイベントのうち、
などは、従来型の仕事でも十分に効果を発揮します。
また、横文字に抵抗感があるチームであるならば、それぞれを「振り返り」や「朝会」などと呼び、アレルギーを抑えるような配慮をしてみてください。
これらのイベントの効果をチームや組織で実感できれば、スクラムにチャレンジしてみようという機運が高まるかもしれません。
ここまでは、チームが自身でプロジェクトを推進するような体制でのスクラム導入のバックログをご説明してきました。
一方、顧客がチームに開発を発注するようなモデル、つまりチームが顧客から発注を受けて開発をしているような現場において、開発チーム側が主体となってアジャイル・スクラムを導入するには、顧客そのものを説得していく必要があります。
それには、顧客が抱える課題をアジャイル・スクラムで解決できるのかを考え、もし可能ならば提案し、合意を得て進める必要があります。
また、合意を得るためには、顧客にアジャイル・スクラムを十分に理解していただくことが必須となるでしょう。
簡単に解決方法をご提示できないテーマになりますので、この内容については、またどこか別のところでお伝えできればと思います。

上記のようなスクラム導入のバックログを完成させ、スクラムを導入できたとしても、すぐにはうまく行かないですし、必ずといって良いほど様々な課題が噴出してくると思います。
しかし、そこで諦めないでください。
スクラムは課題を明るみに出すためのフレームワークです。
明らかになった出た多くの課題は、チームにとって乗り越えなくてはならない多くの試練です。
これらを一つずつ克服し、スプリントを繰り返していけば、あなたのチームは今までとは比べ物にならないハイパープロダクティブなチームに変わっていくことでしょう。
Let’s Try!
執筆: 木代 圭

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