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スプリント300を記念して、私たちがここまで来た道のりを辿ってみる

2026.01.08

気づけば、スプリント300。

この数字を見ると、ここまで本当にいろんなことがあったな..と思わず立ち止まってしまいます。

私たちの会社は、もともと8人のチームから始まりました。

創業してすぐの頃、まだ色んなことが整っていないまま、8人だけで最初のスプリントを回しはじめたのが、スプリント1です。

その後、仲間が増え、事業も広がり、複数チームで仕事を進めるようになりました。でも、スプリントの数字はチーム毎ではなく全社共通で更新し続けてきました。
つまり、スプリント300というのは、私たちScrum Inc. Japanが300回目の検査と適応を続けてきたという証になります。

そう思うと、この数字が持つ重さを改めて実感します・・・!
今日はせっかくの記念なので、私たちがこの300スプリントのあいだに歩んできた道のりをふりかえります。

スプリント1〜50(2019年4月〜2020年3月):手探りで走り出した、8人のスプリント

創業直後の私たちは、事務フローも制度も整っていないまま、忙しい毎日が始まりました。
この時はただひたすらに、「スクラムを広げていくぞ!」という夢と希望を原動力に駆け抜けていた気がします。

「お客様にスクラムを広めるためには、まずは自分たちもスクラムを実践していく必要があるよね」という想いから、8人1チームでスクラムを組み始めました。
チームで働くために、チームビルディングやワーキングアグリメント作りに取り組んだのもいい思い出です。

スプリントが始まってしばらくは、ただ自分たちの仕事を必死に回しながらも、「私たちはどういうチームでありたいか、どういう会社でありたいか」をたくさん議論しながら過ごしていた記憶があります。

当時の会社のミッションは、
“Scrum Inc. Japan team will make all the APAC companies happier and richer.”
スクラムを通してアジア太平洋全体をもっと元気にしたい、そんな大きな夢を本気で語っていました。

その夢をどうやって実現するか?をみんなで集まってビジネスモデルキャンバスを書きあったりもしました。

Scrum Inc. Japanの当時のミッション

その一環として、「スクラム」の導入を通じて、日本企業のデジタルトランスフォーメーションを加速するためにデロイト トーマツとの協業を発表しました。

2019年11月には、スクラムの父、ジェフ・サザーランド博士、そして、スクラムの祖父、野中郁次郎先生をはじめ、世界中からスクラムを実践するリーダーを東京に招き、1日のワークショップ型カンファレンスScrum Interaction 2019を開催することも出来ました。

※会場にて。左から荒本実社長、野中郁次郎先生、ジェフ・サザーランド博士、平鍋健児さん

・・・と、ここまで書くと最初からうまくいっているように見えるかもしれませんが、そんなことはありませんでした。
例えば、社内のプロセスを作ろうとすると、ついしっかりしたものを作り込もうとしてしまい、「全然アジャイルじゃない!」という声が飛び交い、激しい議論を繰り返すこともしばしば・・・
やはり、知識として知ることと、実践することは全然違っていて、それは当時も今も日々向き合い続けているテーマです。

スプリント51〜100(2020年3月〜2021年5月):正解のない世界で、スクラムを信じた日々

スプリントを重ねて、チームも少しずつ成長して行った頃、全世界が思いもよらない事態に巻き込まれました。
新型コロナウイルスの世界的なパンデミックです。

当時、私たちが提供していた研修は全て対面型のオンサイト研修でした。
開催予定だった研修のキャンセル対応に追われながら、この予測不能な事態の中で、私たちの事業をどう続けていくのか、答えの見えない日々が続きました。

そんな状況の中で私たちは一気にフルリモートへと舵を切ります。
創業当初からリモートワークが出来る体制の構築は整えていたものの、全員がフルリモートになるのはこの時が初めてでした。
物理的なホワイトボードはオンラインホワイトボードへ。
当時使い始めた Miro のボードには、「Mural便利」「通勤のない朝の時間」なんてコメントがレトロとして残っています。

Miroでのレトロの様子

コロナ禍の中でも少しずつ仲間が増え、チームの形も変わりました。
コーポレート業務のプロセスを強化するために”Teal チーム”を立ち上げ、トレーニング研修提供やスクラム導入のコーチング支援に注力する”Prime チーム”と役割を分けることに。

チームが2つになった

私たちが提供する研修も、オンライン開催へと移行していきました。

「ただオンラインに切り替える」だけでは、これまで大切にしてきた学びの質や、受講者との関係性は守れない。
そう考え、受講者がエクササイズを実施する場面では少人数に分け、各チームにトレーナーを配置する形へと工夫を重ねました。

その結果、
「些細なことでもすぐにトレーナーに相談できた」
「スクラムマスターとしての在り方を、間近で見ることができた」
といった声をいただけるようになり、オンラインであっても“対面と変わらない価値提供”ができるようになりました。

この時期はコロナという未曾有の非常事態の中でも、「今、自分たちにできることは何か?」を問い続けながら、少しずつ検査と適応を繰り返して前に進んでいました。

スプリント101〜150(2021年6月〜2022年6月):スケールする中で、文化を言葉にした時期

Scrum@Scale を活用した組織変革支援に本格的に注力するため、新たに”Dream チーム”を結成しました。
これにより、私たちは3つのチーム体制で活動するようになります。

チームが3つになった

あわせて、Scrum@Scale Practitioner 研修 の提供もスタート。
個人やチームだけでなく、「スクラムで組織全体をどう変えていくか」というテーマに、より深く向き合うフェーズへと進んでいきました。

一方で、会社が成長し、仲間が増えていく中で、価値観の違いやコミュニケーションの難しさが表面化し、心理的安全性を高め、誰もが安心して働けるようにするため、改めて大切にしたい価値観を言語化する必要性を感じるようになっていきました。

そこでスクラムマスターチームを中心に、カルチャーコードの策定に取り組みました。
役職や経験年数、性別に関わらず、一人ひとりの声が尊重され、安心して意見を伝えられること。
多様な立場や視点が組織の底力となること。

この取り組みを通して「会社として、どんな文化を大切にしていきたいのか」を全員で考え直す、とても良い時間となりました。

完成したカルチャーコードは、現在も半年に1回行う(2026年1月時点)360度評価のタイミングでカルチャーコードに沿った行動ができているかを振り返り、お互いにフィードバックを行う機会を設けています。

Scrum Inc. Japanのカルチャーコード

スプリント151〜250(2022年7月〜2024年10月):人が増え、チームが増え、できることが広がった頃

研修提供やコーチング支援を担ってきた Prime チームは、チーム人数が増えてきたこともあり、“lighthouse チーム”と”unicorn チーム”に分かれ、それぞれの専門性や役割に、よりフォーカスする体制へと移行しました。
その後でマーケティングや研修コンテンツを強化するために”Ducks チーム”が新たに生まれ、私たちは5つのチームで活動する組織へと成長していきました。

チームが5つになった

新たに RAT(Registered Agile Testing)研修RSTM(Registerd Scrum Team Member)研修の提供を開始するなど、スクラムマスターやプロダクトオーナーだけでなく、開発者向けの研修を提供できるようになりました。

また、外部との接点も大きく広がった時期でした。
2022年には Scrum Interaction 2022 を開催し、“スクラムの祖父”こと竹内弘高先生や、経営学者の入山章栄先生をお招きし、オンラインを通じて1,000人以上の方にご視聴いただく機会をつくることができました。

Scrum Interaction 2022を終えて、登壇者とスタッフで記念撮影

さらに Agile Japan では、JJ・サザーランド氏がクロージングキーノートに登壇。
生成AIとスクラムといった新しいテーマへの関心が高まっていることを私たち自身も強く感じるようになりました。

スプリント251〜300(2024年10月〜2025年12月):変わり続ける市場と、変わり続ける私たち

この時期は社員の活躍の場もさらに広がっていきました。
弊社アジャイルコーチが Agile Japan に登壇し、「アジリティとAIの共進化」をテーマに発表を行い、セッション後には多くの質問が寄せられ、アジャイルとAIをどう捉え、実践につなげていくのかという関心の高まりを、現場で強く感じる機会となりました。

また、AIの活用やグローバル動向、市場の変動を背景に製造業や金融業を中心にアジャイル組織運営や組織変革、人材育成に関する相談が増加したことにより、本質のアジャイルを教えるだけでなく、本質の組織変革を支援するScrum Inc.へと形を変えていきました。
そういった変化に対応するため、unicorn チームとDream チームが合流し、新たに”unlock チーム”が結成されました。

チームが4つになった

一方、社内に目を向けると、人数が増えたことで「共有したはずの情報が届いていない」といった課題も見え始めていました。
このままでは良くない、という共通認識のもと、私たちは 全社で Scaled Retro を導入しました。

初回の Scaled Retro は、Link Forest の和ラウンジという、日常から少し離れた場所で実施しました。

全社でScaled Retroを実施

振り返りの後には、赤坂陽月さんによるサウンドバスを体験し、全社員でひとつの共通体験を持つ時間を過ごしました。
スクラムマスターとしての「空」を、身体で感じるような時間だったのかもしれません。
この取り組みは一度きりでは終わらず、Scaled Retro は現在も月に一度、継続的に実施されています。

さらに、2025年9月には Agile Leader Meetupを開催しました。
高い満足度とともに、リーダー同士がつながるコミュニティが生まれました。

Agile Leader Meetup2025

このイベントにあわせて JJ・サザーランド氏も来日し、後日には緊急トップ対談ということで JJ 氏と平鍋健児氏による対談を実施。
「アジャイルの現在地」から「AI時代の人と組織のあり方」へと視座を広げる、多くの示唆に富んだ対話の場となりました。

さいごに:検査と適応は、これからも続く

こうして振り返ってみると、うまくいかないことや迷うこともありましたが、その都度問いかけ、話し合い、次の一歩を選び続けてきました。

ここまで歩んでこられたのは、日々スクラムを実践してきたSIJメンバーや、ともに挑戦してくださったお客様、パートナーの皆さまのおかげです。
改めて、心から感謝します。

スプリント300はひとつの節目ですが、終わりではありません。
これからもスクラムの可能性を信じて、検査と適応を繰り返しながら、一歩ずつ前に進んでいきます。

次のスプリントも、その先のスプリントも、これからの Scrum Inc. Japan も、どうぞ見守っていただけたら嬉しいです。

Scrum Inc. Japan集合写真

執筆:梅澤 友紀