バーンアウトからバランスへ -Twice the Energy with Half the Stress:ストレスを半分に、エネルギーを2倍に
2024.12.04
2024.04.15
2024年3月、Scrum Inc. Japanによる女性対象の研修プログラム「Scrum Inc.認定資格スクラムマスター研修 for Woman」が開催された。
2日間でスクラムマスターに必要な知識とマインドセットを身につけ、「Scrum Inc. 認定資格スクラムマスター」の資格を獲得できるこの研修。
座学とエクササイズが交互にプログラムされた研修の様子を、まずは写真でご覧ください。
ご覧のように、前のめりに聞きながらも、終始和気あいあいとした雰囲気で行われ、受講者からは「自分と近い境遇の受講者と交流できた」「ロールモデルになるような女性リーダーのスタンスを学べた」というポジティブな感想が多く寄せられました。
この記事では2️日間の研修を、ポイントを絞ってダイジェストレポートの形式でお届けします。
アジャイル開発の代表的なフレームワークの一つである「スクラム」において、スクラムマスターに求められること。それは自己中心的でなく、メンバーが成長し、成功することをサポートしながら、共同での目標達成を促進する「サーバントリーダーシップ」の精神です。
受講者は座学、エクササイズやディスカッションを通しスクラムマスターの役割とチームをどのように支援していくのか理解を深めていきます。
そもそもなぜ「女性向け」の研修なのか?
開催の経緯を講師を担当したアジャイルコーチの清水麻由氏に聞いてみました。
「これまで多くのスクラムマスター研修を実施してきましたが、受講者全体のうち女性の割は常に2-3割前後で少ないなと感じていました。同時に、スクラムマスターに求められるサーバントリーダーシップは共感力や対話力、気づきや傾聴という素養を発揮できるスタイルだと感じています」
「日本の企業においては、まだまだ女性リーダーの数が少なく身近にロールモデルがいないというのは私個人の悩みでもありました」(清水)
はじめに受講者は、5〜6名程度の業種や世代を横断したチームを結成。座学だけではなく、チームメンバーで協力しあうゲームなども通し、スクラムのフレームワークを身につけていきます。
ディスカッションやエクササイズを経て生まれた疑問を、受講者が「パーキングロット」(ちょっとしたタスクや疑問を挙げるスペース)に掲示すると、講師が研修の合間に質問をピックアップし、回答する。
挙手制での質疑応答よりもハードルが低いこともあって、研修中には多くの質問や相談が寄せられました。
中には「チームメンバーが積極的に発言してくれない場合はどうすべきか」といった、多くの人がぶつかる実体験に基づいた質問から、「どういった人がスクラムマスターに向いているか」「スクラムマスターに必要な素養やスキルは?」といった定番の質問まで。
これらの質問は今回に限らず、過去の受講者からも多く寄せられます(清水)
「スクラムはチームで仕事をするフレームワークなので、コミュニケーションの能力は必要になってくると思います。ただ、様々なタイプのリーダーがいるように特定の性格や資質で限定する必要はないと感じます。ファシリテーションやコーチングといったスキルも勿論大切ですが、アジャイルの理解やモチベーションがあることの方が重要だと思います」(清水)
実際にアジャイル組織で活躍する女性リーダーをゲストに迎え、経験談を聞くセッションも設けられました。
1日目には武田薬品工業株式会社にてスクラムを実践する吉住ななみ氏が登壇。
グローバルなバイオ医薬品企業がスクラムを導入するまでの経緯と、吉住氏自身がスクラムマスターを経験して得た気づきや変化についての話がありました。
2日目のゲストスピーカーは株式会社LIXILでマーケティング企画部の部長を務める焼田奈緒美氏。
焼田氏は部門の女性リーダーとして活躍するに至るまでの経験・失敗談や、キャリアに応じ変化したモチベーションについて紹介。「未来の女性リーダー」である受講者に向けたアドバイスでスピーチを締めくくった。
講習の終盤には「スクラムマスターが実際のチームで遭遇する様々な状況において、どのようにチームを助けるのか」といった実践に即した最終課題も用意されました。
受講者は2日間で学んだことを振り返りながらチームごとにディスカッションを行い、各々が「スクラムマスターとして何ができるのか」を思索しながら導き出していました。
女性が集まった研修はどうだったのか。研修後、参加者の声を聞いてみました。
「スクラムについて基礎から学び直したかった」という経緯で参加した岩塚氏は「学ぶことで自信がついた」と研修を振り返る。
「スクラムマスターとしての知識や経験が浅かったので、わからないことも多かったんです。でも今回の研修で、個人としてやるべきことが具体的にわかって、タスクの優先順位を整理できました」
「また、年齢も経験も異なる他の受講者と交流し、リアルな悩みや意見を聞けたことはとても参考になりました。今後スクラムマスターとして自分が向き合うだろう課題も想像できました」(岩塚氏)
その一方、すでにスクラムマスターの経験が長い受講者からは「既存のフレームワークを見直すきっかけになった」という感想も。吉川氏は次のように語る。
「2022年からスクラムマスターとしてプロジェクトを進めていて、チーム独自の解釈でスクラム“のような”フレームワークを実践していました」
「ただ今回の研修を受けたことで、もともと実践していたプロジェクトの進め方にすこし誤りがあったことに気づきました。正しいスクラムのフォーマットを学び、日頃の疑問を解決したことで、軌道修正ができそうです」
「座学とエクササイズを通して身につけた知識は、すぐにでも社内のプロジェクト進行に活かせればと思います」(吉川氏)
また「女性限定の研修ならではの経験を得られた」という感想も。齋藤氏は、今までもオンラインでスクラムに関する研修に参加したことがあるという。
「スクラム研修に限らず、キャリアアップのための研修やワークショップに参加すると、女性が2割程度しかいないんです。今回は『女性だけの研修はどんな雰囲気になるのか』に興味をもち、あえてこちらの研修に参加しました」
「実際に参加してみると、同じ受講者と打ち解けるスピードも早いし、心理的安全性が高い印象を受けました。何よりライフステージの変化や働き方、業務のバランスなど、抱えている課題が似てるんです」
「素直にお互いの悩みを相談し合うことができたので居心地が良かったです」(齋藤氏)
講師の清水氏は2日間の研修を終えての感想を、次のように述べています。
「始まる前はどんな雰囲気になるのかなとドキドキしていましたが、始まってみると皆さんのモチベーションの高さと、同時に自然体の明るい雰囲気にあっという間の2日間でした。
性別で区別する考え方をするつもりはありませんが、同じ女性ということで出産・子育てといったライフステージで遭遇するイベントには共通点が多く、キャリアとのバランスなどを同じ悩みを持つメンバー同士で話せる機会と言うのは重要なのだと感じました。
研修終了後に『自分と同様にがんばっている人がたくさんいることに気づき、励まされた』とおっしゃってくださった人が多く、女性向けの研修を開催したことの意義を感じました」(清水氏)
研修終了後、2日間の研修を完遂したことを受講者同士が労う場面もあり、企業や業種の壁を超えた新たな絆が芽生えたことが伺えました。
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