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2024年7月4日から5日にかけて、東京都 港区 虎ノ門のKDDI Digital GateにてScrum Inc. 認定アジャイル・テスティング研修が開催されました。当日の研修風景について写真とともにレポートします。
研修の背景と目的
Scrum Inc. Japanがこの研修を提供する背景には、アジャイル開発現場におけるテストの重要性が強く認識されたことがあります。スクラムの導入によって開発スピードは向上したものの、リリース品質を確保するためのテストの進め方が不明確であるという共通的な課題が浮かび上がりました。本研修は、そうした課題を解決するためのヒントを提供することを目的としています。
研修で得られるもの
研修は、座学とワークショップを組み合わせた構成で、参加者はアジャイルなソフトウェア開発におけるテスティングのマインドセットをインストールすることができます。また、その実践方法として探索的テストや受け入れテスト駆動開発(ATDD)に代表される実践的なプラクティスの知識を身につけることもできます。
研修実施の様子
〜 Day 1 〜
初日は、研修における「アジャイル」の共通認識を形成するために、スクラムにおけるテストや品質保証に関するポイントである完成の定義などに関するクイズから始まりました。
マインドシフトが重要
「アジャイルテストとは」の説明では、特にテストにおける従来の開発手法との考え方の違いが強調されました。
「アジャイルソフトウェア開発(特にスクラム)では、テストはスプリントの中で継続的な活動として行われます。これは従来の開発のようにプロジェクトの後半やリリース前のフェーズにまとめて行うテストとは大きく異なります」(講師:小堀 一雄 氏)
アジャイルテストの考え方を理解した後は、「アジャイルテストのプラクティス」としてペアテストと探索的テストを学習し、実際に受講者たちは2人1組になって、Web上で動くB2Cサービスに対するペアテスト形式の探索的テストを体験していました。
また、実例による仕様(Specification by Example)というプラクティスを活用して、ビジネスとITの間で仕様のミス・コミュニケーションを防止する方法を学びました。
〜 Day 2 〜
2日目は「アジャイルテストのプラクティス」の後半から始まりました。
振る舞い駆動開発(BDD)や受け入れテスト駆動開発(ATDD)について学んだ後、早速ワークショップ形式で具体的な機能に対して、Gherkin記法を使ったテストケースをチームに分かれて作成していました。
講師による自動テストのライブコーディング
講師によるATDD(受け入れテスト駆動開発)のライブコーディングも。
Gherkin記法で記載したE2Eテストのテストケースが自動化されていく様を見ることで、受講者は自身の開発現場でテスト自動化を活用するイメージを膨らませていました。
AIを活用したテストセッション
最新技術を取り入れたプラクティスとして、AIを活用したテストについてのセッションも実施された。
参加者たちはチーム毎にOpenAI ChatGPTを使ったテストケースの生成などいくつかのAI活用シナリオを体験。
参加者全員参加での締めくくりディスカッション
研修の最後には、「アジャイルテストで見るべき指標」について参加者全員が意見を出し合った。
2日間の学びをもとに、変化に対応できるために、従来見ていたプロダクト品質に関する指標だけでなくビジネス価値やリリース頻度も含めた複数の視点から有効な指標について激論が交わされました。
参加者の声
最後に、研修の終了後によせられた受講者アンケートからいくつかをご紹介します。
・印象に残った学びについて
「テストにも優先順位をつけるという点が一番の驚き・発見だった」
「BDDやGherkin記法など知らないプラクティスを学べてよかった」
・研修の進め方について
「理論だけではなく、演習や実例を交えた内容で理解しやすかった」
「質問への的確な回答が良かった」
「演習が多く、みなさんの意見や考えが聞けてよかった」
アジャイル開発におけるテストの考え方の転換が、多くの参加者にとって新鮮な学びとなったのではないでしょうか。
資格の発行:
2日間の研修を全て受講された参加者には、Registered Agile Testingの資格が発行されていました。
トレーナーのコメント
「受講者の皆さんがアジャイル・テスティングのマインドセットやプラクティスに高い関心を示してくれたことが嬉しいです。本研修としては初の公募型研修でしたが、多様な開発現場から集まった受講者の皆さんとテストに関する課題や工夫の議論ができて私も刺激を受けたと同時に、研修を改善するインプットも得られました。」(講師:小堀 一雄 氏)
「この研修から、小さくていいので今後現場が変わるきっかけとなるアクションを持って帰ってほしいですね。今回取り上げたBDDやAIの活用については、今後のアジャイルテストの現場でどんどん必要になってくると考えています。」(講師:JB Vasser 氏)
まとめ
本研修は、2日間でアジャイル・テスティングの基本から最新のトレンドまでを幅広くカバーし、参加者に多くの気づきと学びを提供していました。マインドシフトに関する熱量の高い議論や、探索的テストやATDD、AIの活用といった新しい概念や技術に対する参加者の関心の高さが印象的でした。
一方で、学んだ内容を実際の現場でどのように適用していくかについては、研修の中でも多くの参加者から様々な課題やアイデアが提起されました。「現状と理想のギャップが明確になった」という声や、今後は今回参加しなかった現場の他のメンバーを巻き込んだマインドシフトの議論が必要との声も挙がっていました。
アジャイルテストの分野は日々進化しており、今後もAIの新機能の活用などによるさらに効率的なテスト手法の登場が予想されます。本研修のような機会を通じて、日本のIT業界全体でアジャイル・テスティングの普及が進んでいくことが期待されます。
Scrum Inc. Japan からのお知らせ
第2回の「Scrum Inc. 認定アジャイル・テスティング研修」は、2024年9月12日(木)と13日(金)の2日間、
東京都 港区 虎ノ門のKDDI Digital Gateにて開催を予定しています。
また、第3回は2024年12月12日(木)と13日(金)の2日間、オンライン開催を予定しています。
アジャイルにおけるテスト領域のスピードと品質の両立に課題を感じていたり、同じような課題を持つ方々と経験やアイデアを共有してみたいと感じた方は、下記のリンクから是非ご参加ください。