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アジャイルとは?基本からわかりやすく解説

2025.04.03

「アジャイル」という言葉を聞いたことがあるけれど、実際にどういうものかよくわからないという方も多いのではないでしょうか? アジャイルは、ソフトウェア開発だけでなく、今日ではさまざまな分野、業界で活用されている考え方です。しかし、その概念や進め方を理解するのは、初心者にとっては少し難しいかもしれません。

この記事では、アジャイルの基本、進め方、メリットをわかりやすく解説します。これを読めば、アジャイルがどういったものか、どう実践すれば良いかのヒントが見つかると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

アジャイルとは何か?

1. 「アジャイル」という言葉の意味

アジャイル(agile)とは、日本語では「敏捷」や「素早い」と訳されるように、変化に素早く適応しながら価値を生み出す考え方を指します。

現代のような不確実さが多い時代においては、世の中の情勢や顧客のニーズは、様々な要因により日々変化します。

そうした中では、それらの状況に合わせ、物事を素早く柔軟に決定・変更し、実施していくことが必要で、それを実現する考え方として、アジャイルが注目されています。

アジャイルは、単なる「開発手法」ではなく、チームや組織全体の文化や働き方にも影響を与える考え方です。このため、アジャイルを導入することで、組織全体の進化を促す可能性を秘めています。アジャイルを実現するための具体的な手法としては、スクラム、XP、カンバンなどがよく使われます。これらの手法はそれぞれに特徴がありますが、共通して「早く、頻繁に、柔軟に」成果を出すことを目指しています。

2. アジャイルの起源とその考え方

アジャイルという言葉が広まったきっかけは、アジャイルソフトウェア開発宣言(Manifesto for Agile Software Development、以下、アジャイルマニフェスト)です。

このアジャイルマニフェストは2001年に17人のソフトウェア開発者たちが、より柔軟で効率的な開発手法を見つけ出す活動の中で得た価値観や考え方をまとめたものです。(その誕生秘話について知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。)

アジャイルマニフェストでは以下4つの価値がまとめられています。

・プロセスやツールよりも個人と対話を

素晴らしいプロダクトを作るためにはプロセスやツールも大事ですが、最も大切なのは「それを使う人たち」です。

どれだけ優れたツールを導入しても、コミュニケーションが不足していれば、適切な意思決定はできません。チームメンバー同士が積極的に対話し、状況に応じて柔軟に対応していくことが重要になります。

・包括的なドキュメントよりも動くプロダクトを

実際に動くものを作り、そこから得たフィードバックを活かして改善を重ねることを優先します。もちろん、必要なドキュメントは作成します。書いても読まれないようなドキュメントを一律に作成するようなことはしません。

・契約交渉よりも顧客との協調を

従来のやり方では、最初に要件を決め、それに沿って進めることが一般的でした。しかし、実際には仕事が進むにつれて顧客のニーズが変わることもあります。そうした変化に対応できるよう、契約の範囲内で作業を進めるだけでなく、顧客と密に連携しながら、より良いものを作ることを大切にします。

・計画に従うことよりも変化への対応を

仕事を進めるうえで計画は必要ですが、最初に決めた通りに進めることが目的ではありません。市場の変化や顧客のフィードバックに適応しながら、状況に応じて柔軟に計画を見直し、最善の方法を模索していくことが大切です。ただし、これは「計画を立てなくてよい」という意味ではなく、むしろ変化を前提とした計画を立てるという考え方が求められます。


このように、アジャイルでは「変化に適応しながら、顧客へより良い価値を提供し続けること」を重視しています。従来のやり方では対応しきれなかった不確実性の高い環境の中でも、チームが協力しながら柔軟に進めていくことが、アジャイルの本質になります。

なぜアジャイルが必要とされるのか?

近年、多くの企業がアジャイルを取り入れていますが、その狙いは主に以下の2点です。

変化の激しい時代に対応するため

現在は市場の変化が速く、長期的な計画を元に仕事を進めることのリスクが高くなってきています。

・顧客のニーズが頻繁に変わる
・新しい競合が次々に登場する
・技術の進化が早いこうした状況では、最初に作った計画の通りに進めるのではなく、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。
アジャイルは、このような環境の変化に素早く適応できる考え方、価値観を提供してくれます。

顧客価値を最大化して素早く届けるため

前述の通り、市場の変化が早く、顧客のニーズも頻繁に変わる今日においては、常に顧客と向き合い、顧客がその時々で求める価値を届け続ける必要があります。

顧客に対して素早く価値を届け続け、こまめにフィードバックを受けながら顧客の望むものに近づけていく。

その姿勢の大切さを、アジャイルは示してくれています。



アジャイルの考え方は、もともとソフトウェア開発の現場で生まれましたが、今ではマーケティング、製造業、人事、教育など、ソフトウェア開発に限らない、さまざまな分野で活用されています。

アジャイルによる進め方

1. アジャイルによる進め方の原則

アジャイルによる進め方は、変化に適応しながら、顧客へより価値の高いものを素早く提供することを重視しています。そのため、次のような原則に基づいて進められます。

まず、短いサイクルで「計画・実行・ふりかえり」を繰り返し、継続的に改善することが重要です。従来のように一度決めた計画の通りに進めるのではなく、状況の変化に応じて優先順位を見直し、最も価値のあるものを顧客へ提供できるよう調整します。

また、顧客やチームの協力とコミュニケーションを重視し、対話を通じて柔軟に進めることもアジャイルの基本です。計画やドキュメントよりも、実際に動くプロダクトを作りながら顧客からフィードバックを得ることが優先されます。フィードバックを得ることで顧客のニーズに応じて適宜調整を加えながら、より良い成果を目指します。

2. ウォーターフォールとの違い

アジャイルを理解するために、従来の仕事の代表的な進め方であるウォーターフォールモデルと比較し、具体的にどのような違いがあるのかをまとめてみました。

  ウォーターフォール アジャイル
進め方の違い 仕事を「要件定義→ 設計 → 実装 → テスト → リリース」といった工程に分け、順番に順序立てて進める、前の工程への後戻りはほとんどしない。 仕事を短い期間(イテレーションやスプリント)で区切り、その中で計画、実施を行う。区切りごとに少しずつ成果物を作り出し、それらを積み上げて完成させる。
柔軟性と変化への対応 最初にゴールまでの詳細な計画を立て、それをなるべく変更しないように進める。 顧客の要望や状況に合わせ、必要に応じて途中であっても要件の変更を行う。この変更によって、リリースまでの期間が変更されることもある。
コミュニケーションの違い 開発チームと顧客などの関係者とのコミュニケーションは主に工程フェーズの区切りごとに行う。このため、開発の途中で期待とズレが生じても、気付くのが遅れる場合がある。 定期的な集まりを通じて、チーム内や顧客などの関係者とのコミュニケーションを頻繁に行う。このため、認識のズレを早期に修正し、方向性を素早く調整することができる。

このように、ウォーターフォールは計画に沿って着実に進めるやり方であり、アジャイルは変化に対応しながら柔軟に進めるやり方です。どちらが優れているというわけではなく、プロジェクトの特性や目的に応じて適切な手法を選ぶことが重要です。変化が少なく、仕様が明確なプロジェクトではウォーターフォールが適している一方、環境の変化が激しく、素早い改善が求められる場合はアジャイルが効果を発揮します。

3. アジャイルの代表的な手法

アジャイルは特定のやり方ではなく、変化に対応しながら価値を生み出すための考え方ですが、それを実践するための手法はいくつかあります。特に、スクラム、カンバン、XP(エクストリーム・プログラミング)は代表的なアプローチとして広く使われています。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

スクラム(Scrum)

スクラムは、アジャイルの中でも特にチームでの協力と継続的な改善にフォーカスしたフレームワークです。

短い期間(スプリント)を繰り返しながらスプリントごとに計画・作業・ふりかえりを行い、継続的に改善を重ね、顧客の価値を高め続けていきます。

チームで協力して進める仕事、変化が多い環境や短期間で成果を出したい場合に適しています。

カンバン(Kanban)

カンバンは、視覚的に作業を管理し、無駄なく業務を進めるためのフレームワークです。

ボードと付箋を使って作業の進捗状態を管理し、進行中の作業量を制限(WIPを制限)して継続的なフローを最適化するのが特徴です。
作業の詰まりやボトルネックを発見しやすく、継続的な改善を進めやすい方法です。
運用・保守など、継続的に作業が発生する業務やチームの作業状況を可視化して改善したい場合に適しています。

XP(エクストリーム・プログラミング)

XPは、特にソフトウェア開発における品質向上や、変化に適応しながら価値あるソフトウェアを継続的に提供することを目的とした手法です。
テスト駆動開発(TDD)、ペアプログラミング、継続的インテグレーションなどを取り入れ、コードの品質とチームの生産性を高めることを目的としています。特に、頻繁なリリースとフィードバックのサイクルを重視する点が特徴です。
品質を重視するソフトウェア開発や、小規模チームでの開発に適しています。


これらの手法は、プロジェクトの性質やチームの状況に応じて適切なものを選ぶことが重要です。

アジャイルのメリット・デメリット

アジャイルには多くのメリットがありますが、一方でデメリットや向いていないケースもあります。

メリット

変化に柔軟に対応できる

  • 市場の変化や顧客のフィードバックを受けて、素早く軌道修正が可能
  • 長期的な計画に縛られず、優先度を適宜見直せる

早い段階で価値を提供できる

  • 段階的に開発・改善を進めるため、初期段階から成果を出せる
  • 「動くもの」を提供し、フィードバックをもとに改善できる

チームの主体性が高まり、モチベーションが上がる

  • 自分たちで計画を立て、仕事を進めるため、責任感と達成感が生まれる
  • 継続的に振り返りを行うことで、チームの成長につながる

デメリット

チームの自律性が高い人たちで構成する必要がある

  • アジャイルでは、メンバーが主体的に動くことが前提
  • 経験が浅いチームだと、意思決定や進め方に迷うことがある

コミュニケーションが重要で、適切に行われないと機能しにくい

  • チーム内外で頻繁にやりとりをする必要がある
  • リモート環境では、特に意識的な情報共有が必要

向いていないプロジェクトもある

  • 要件が明確に決まっていて、変更の余地がないプロジェクト(例:法規制対応)
  • 長期間の計画や契約が厳密に決まっているプロジェクト(例:固定スコープの請負開発)
  • 予算や納期の厳密な管理が求められるプロジェクトでは、アジャイルの柔軟性が逆に負担になることがある

まとめ

アジャイルは、変化に柔軟に対応しながら、価値のある成果を継続的に生み出す考え方です。

特に、
・ 短いサイクルで振り返りと改善を繰り返すこと
・ 顧客と密なコミュニケーションを取り、顧客にとって価値の高いものを提供し続けていくこと
・チーム内はもちろん、顧客とも協力しながら進めること

が、アジャイルの成功には欠かせません。

また、アジャイルは価値観や考え方であり、仕事をアジャイルに進めるためには、適切な方法論を学び、実践することが不可欠です。スクラムをはじめとするアジャイルの手法を活用することで、チームは効率的に仕事を進め、より良い成果を出せるようになります。
アジャイルに興味がある方は、まずはこれらの方法論を学び、チームで小さく試してみることから始めてみてはいかがでしょうか?

執筆:梅澤 友紀