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スクラムマスターに必要なスキルと役割|押さえておきたいポイントについて

2025.05.19

スクラムにおける役割のひとつ、スクラムマスター。
スクラムの名前を冠した役割であるスクラムマスターは、その名前を聞いただけでも非常に重要な役割だと想像できます。
では、スクラムマスターはどんな仕事をするのか、どのような役割を果たすのか?

この記事では、スクラムマスターの仕事内容や求められるスキル、注意すべき点について見ていきます。

スクラムマスターの役割とは?

スクラムの考案者2名によってまとめられた、スクラムのルールブックである、スクラムガイド(2020年11月版)では、スクラムマスターは「スクラムガイドで定義されたスクラムを確⽴させることの結果に責任を持つ」「スクラムチームの有効性に責任を持つ」とされています。

そして、それらに加え「スクラムマスターは、スクラムチームと、より⼤きな組織に奉仕する真のリーダーである」と書かれています。

日本において、「リーダー」と聞くと、チームや組織を積極的に引っ張ることでゴールに導く姿を想像してしまう方が多いですが、それはリーダーシップの一つの形に過ぎません。
スクラムマスターが発揮すべきリーダーシップは、チームの導き手として、チームが考え、自らの課題や問題に向き合い、それらを克服していくことを支援する、サーバント型のリーダーシップです。

このスクラムマスターが果たすべきサーバント・リーダーシップは、野球のコーチやサッカーのトレーナーをイメージしてもらうと良いかもしれません。
野球のコーチやサッカーのトレーナーは、選手のようにグラウンドやピッチに立って直接プレイすることはありませんが、チームを構成する一員として、チームが成長し、他のチームに勝てる力を身につけられるようにする責任を担っています。

スクラムマスターは、チームがスクラムのプロセスを正しく身につけ、実行できるようにコーチすることで、チームが定めたゴールに到達できるように導きます。

特にプロダクトオーナーに対しては、プロダクトオーナーがその役割を理解し、なすべきことをなせるようコーチや支援を提供します。

また、組織に対しては、スクラムが定着し、機能するように、導入計画の立案やトレーニングやコーチ、ステークホルダーの理解促進のための活動を行い、時としてそれらとの間で生じる障害の除去に力を注ぎます。

スクラムマスターに求められるスキルや能力

では、そんなスクラムマスターに求められる資質とは何でしょうか?

プロダクトオーナーと違い、スクラムマスターには様々なスタイルがあり、一概にこうあるべきだ、という姿を示すことは難しいですが、一般的に以下のようなスキルや能力が必要になるでしょう。

  • スクラムの知識
    スクラムの理論や原則、スクラムパターンなどのプラクティスに対する深い理解。
    これには、コーチングの対象となるプロダクトオーナーや開発者の役割や仕事の進め方についての理解も含まれます。
  • コミュニケーション能力
    チーム内外の関係者と効果的に情報共有し、信頼関係を築く能力。
    チームメンバーの感情や状況を理解し、寄り添うことができる力。
  • ファシリテーション能力
    会議や議論を円滑に進め、チームの合意形成を促す能力。
  • コーチング能力
    チームメンバーの成長を支援し、潜在能力を引き出す能力。
  • 問題解決能力
    チームが抱える課題や障害を特定し、解決に向けてサポートする能力。
  • 忍耐力
    チームが成長するまで根気強くサポートし、変化を促す力。
  • 柔軟性
    状況に応じて対応を変化させ、臨機応変に動ける力。
  • 倫理観
    公平性、誠実さを持ち、チームを尊重する姿勢。

スクラムマスターは、これらの知識やスキルを駆使し、スクラムチームをコーチ・支援し、導いていきます。

スクラムマスターの醍醐味と、務める上での注意点

スクラムマスターの醍醐味は、自らのサポートにより、チームが自律的に課題を克服し、プロセスの改善をしながら、顧客が真に望む価値あるプロダクトを作り上げ、素晴らしい成果を生み出していく様を間近で見ることができる点にあります。

ビジネスにおいて「金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流」という金言があります。
スクラムマスターの仕事は、この「人を残す」仕事に他なりません。

スクラムマスターによって立ち上がったスクラムチームは、会社や組織を駆動し成果をあげる大きな力となり続けるでしょう。

一方、スクラムマスターを務める上では、いくつかの注意点もあります。

やや逆説的に聞こえるかも知れませんが、スクラムマスターが目指す究極の姿は「スクラムチームが、自分がいなくても機能し、自分たちのプロセスを改善し続けられる状態にすること」です。

このため、スクラムマスターはチームにやり方を直接的に指示するのではなく、チームが自分で考え、答えを導き出せるように支援する必要があります。
時として、このような進め方は回りくどく、多くの忍耐が必要になりますが、チームの成長のため、スクラムマスターはこうした気持ちとうまく付き合い、コントロールしていかなくてはなりません。

また、チームの障害の除去を意識するあまり、「何でも屋」や「御用聞き」になってしまうケースも散見されます。
チームのあらゆる雑務を引き受けてしまうと、本来のスクラムマスターとしての役割に集中できなくなります。
スクラムマスターは、遭遇する幾多の課題を素早く見極め、自分は何をし、何をしないのか(他のメンバーに任せるのか)を素早く判断する必要があります。

詳しく知りたい、学びを深めたい方へ

ここまで、スクラムマスターの役割や必要となるスキル、そしてこの仕事の魅力について見てきました。
スクラムマスターに興味を持ち、スクラムマスターについてもっと知りたい、学びたい、とお考えの方は、是非とも「Scrum Inc. 認定資格スクラムマスター研修」の受講をご検討ください。
この研修では、スクラムの理論や原則を学び、スクラムマスターが果たすべき役割やチームとの接し方、コーチの方法をたくさんのワークを通じて学ぶことができます。

Scrum Inc. 認定資格スクラムマスター研修でスクラムマスターを志す皆様とお会いできることを楽しみにしております。

執筆:木代 圭