2019年、John DeereのグローバルITグループは、「成果(アウトカム)を得るスピードを高める」というシンプルかつ野心的な目標を掲げ、アジャイル変革に着手した。
多くのFortune 100企業と同様、John DeereのグローバルITグループは既にアジャイルのフレームワークを組織の一部に導入していたが、経営陣が望んだ結果を達成できていなかった。
そこで、John DeereのグローバルITグループのシニアリーダーは、グループの業務のあらゆる側面に関わる包括的なトランスフォーメーションに着手することを決定した。
当時をふりかえり、同社でグローバルIT担当役員を務めるGanesh Jayaram氏は、「私たちリーダーは、組織変革のフレームワークとして、Scrum@Scaleが、ITおよび組織全体へアジャイルを浸透させるのに最も適していると判断しました。」と語る。リーダーシップの決定により、DevOpsと技術的なスキルアップとともに、スクラムとScrum@Scaleがグループの新しいアジャイル組織運営の中核となった。
そして、John Deereは、スクラムのトレーニングとアジャイル変革のコンサルティングの両方における長年の実績を評価し、Scrum Inc.を変革のパートナーに選んだ。
開始から2年目にして、John Deereの変革は大きな実を結ぶ。
John Deereの変革の中心となったのが、同社のアジャイル実践道場「Foundry」だ。「Foundry」は、アジャイルチームの立ち上げと育成に必要なトレーニングとコーチングに関するあらゆる知識、スキル、ノウハウ、コンテンツ、戦術を保有する。
「Foundry」は、John Deereの社内トレーナー・コーチとペアを組むScrum Inc.のコンサルタントからなる専任チームによって立ち上げられた。
「Foundry」モデルは非常に成功し、John DeereのグローバルITグループは、アジャイル変革をアメリカから開始してメキシコ、ドイツ、ブラジルへ拡大。そして、インドの同社の専用の施設における本格的な「Foundry」プログラムへと結実した。
事前 フェーズ |
「Foundry」のコーチは、スクラムの導入対象となるプロダクトの関係者とともに以下を受け入れ条件とする準備活動を行う。
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準備 フェーズ |
プロダクトオーナーは、週に一度、ワークショップに参加し、2ヶ月かけて、カスタマージャーニーマップの作成方法から、顧客インタビューの実施方法まで、効果的なフィードバックループを実現する方法を学ぶ。また、プロダクトオーナーとして重要な、バックログの管理方法と優先順位付けの方法、プロダクトゴールの立案やリリースプランニングの方法も学ぶ。 |
集中 フェーズ |
最初の1週間で、Scrum Inc.認定スクラムマスターおよびプロダクトトレーニング、およびチーム立ち上げ・プロダクトバックログワークショップを行う。チームのワーキングアグリーメント、プロダクトビジョン・プロダクトゴール、そして、直近1〜3スプリント分の準備完了のバックログが用意できたら、スプリントが開始される。
チームは、以降9週間、伴走型コーチの支援を受けながら、顧客価値とプロダクトのデリバリーに完全に集中する。 |
3つのフェーズはすべて同時に実行されるように設計され、フェーズごとに担当するトレーナーやコーチも異なる。それにより、大規模かつ効率的なチームの立ち上げが行えるようになる。
2019年末のアジャイル変革の開始から約24か月後の2021年12月時点までに、John Deereは以下のトレーニング成果を達成した。
主な企業レベルの成果は以下の通り。
2021年、John DeereのグローバルITグループは、世界最大規模のScrum@Scaleの導入組織となった。
アジャイル変革は、IT領域を超えて広がりつつある。同社のアジャイルコーチの1人が、工場の現場に行って、ある工場チームと一緒に仕事をした結果、チームはとてつもない成功を収めた。
グローバルIT担当役員のGanesh Jayaram氏は、工場の事例を「アジャイルが全社的に浸透している事実」の兆しと見みし、新製品のR&D、製造、人事を、スクラムおよびScrum@Scaleが次に有益な結果をもたらす領域と考えている。
John Deereは企業として、より高いパーパス「WE RUN SO LIFE CAN LEAP FORWARD(私たちが走るから、人生が飛躍する)」を掲げる。同社のグローバルITグループは、今後数十年に渡り、スクラムおよびScrum@Scaleを組織全体へと広げながら、同社のパーパスの実現を力強く推進していくだろう。
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