システム開発から運用・業務改善までを顧客と伴走して行うソフトウェアハウス「株式会社インターシステムズ」が、社員の力を引き出し顧客により多くの価値を届けるために、アジャイル・スクラム手法を導入するまでの物語。
第二話は、現場レベルの皆様にスクラムを理解してもらうために、研修をお届けするお話です。
インターシステムズ様の訪問は、私たちにとってとても印象的なものでした。
様々なライフステージの人が活躍し、チームで回る会社。
そんな働きやすい会社にもっとしていきたいんです。
長谷川社長の言葉をチームメンバー全員で反芻しながら、早速インターシステムズ様への提案の作成に取り掛かりました。
インターシステムズ様のマネージャーレベルの方々には、すでにPublic研修に参加頂いているので、今回の対象者は主にプロジェクトを推進する役割の方とそのチームメンバー、スクラムの役割においてはスクラムマスターと開発者の方々になります。
インターシステムズのマネジメントの方々が取り組もうとしているスクラムは、今回ご提案する研修の対象者である現場の担当者様の立場に立てば、舶来で横文字の多い、得体のしれないものに映ると思います。
ですので、まずはスクラムとは何かを知ってもらい、その構成要素や全体の流れ、役割といった、始めるために必要な基礎知識を学び、理解してもらうことが重要です。
このため、スクラムの方法論を1日に凝縮してお伝えする「認定スクラムチームメンバー研修(RSTM)」を提案することにしました。
また、座学だけにならないよう、スクラムを体験できるエクササイズも採り入れることにしました。
長谷川社長は、「参加者の中からスクラムに取り組んでほしいと考えているチームがあるが、メンバーの特性がどの役割に適しているのか、客観的にもアドバイスが欲しい」と仰っていたので、研修の最中に参加者の取り組み方や理解度などを観察し、後日ご報告した上で、パイロットチームを組成する参考にしていただくこと提案に盛り込みました。
提案書を完成させ、送付。
(ご参考までに、その一部を抜粋してご紹介します。)
ご提案後、何度かのやりとりを経て、ご了承を頂くことが出来ました。
また、長谷川社長を始め、弊社のPublic研修にすでに参加頂いている方も実際にプロジェクトに関わることが多く、チームと同じ温度感を持ちたい、というお話しも頂いたので、社内向けの研修ではPublic 研修で採用している内容とは異なるエクササイズを実施し、すでに受講されている方々にも、そのパートに参加いただくことにしました。
そして研修当日。
Scrum Inc. Japanのトレーナー陣は、会場に1時間前に入らせてもらい、事前の準備をするのがいつもの流れです。
会場に入ると、すでに机はチームで座れるよう島型に配置されていて、事前に発送して受領していただいていた資材も、部屋の隅に開梱されて置かれていました。
講師の目線でのコメントで恐縮ですが、実はこういう対応をして頂けると非常に助かります。
この研修に対する会社としての期待を感じつつ、定刻に研修が始まりました。
研修において、講師は受講者の方々にメッセージを伝えることに注力していると思われがちなのですが、実は皆様が思う以上に受講者の皆様を観察しています。
自分が今伝えたことを受講者は理解できたのか?眠そうな人はいないか?そして話を腹落ちして納得できているのか?
このようなことを受講者の仕草から読み解き、時には話し方や話の内容を変えながら研修を進めます。
今回の研修を通じて感じたことは、長谷川社長が仰っていた通り、皆さんがとても真面目に研修を受けているということ。
そして、自分たちの仕事にどう当てはめていくのか、本当にそれができるのかを考えながら聞いておられるということでした。
休憩時間に受講されている何人かに話しかけてみると、ベテランの方であるほど、自分の会社でできるのか、この方法を採用してお客様にご迷惑をかけないのか、の心配をされている方が多かったです。
実際のお仕事でも、誠実にお客様に向き合っておられるのではないかと思いました。
研修自体は、いつものようにバーンダウンチャートを更新しながら、頂いた時間内に収まるよう、進捗を確認しながら進み、予定通りに終えることができました。
追加のエクササイズは、マネジメントのチームも参加し、大いに盛り上がりました。
研修の数日後、当日の研修を担当したメンバーで、フィードバック資料を作成しました。
コーチ観点でみると、研修の受講者の態度は大きく3つのパターンに分かれます。
・内容を理解し、やってみたいと思う/思ってもらえた人
・内容は理解しつつも、これって本当に自分たちでできるのか考え込んでしまう人
・自分の今までのやり方にこだわり、否定的に捉えてしまう人
ちょっと適切な表現ではないかもしれませんが、敢えて名前をつけると、最初の人は、やってるぞ ! と自ら燃え上がれる「可燃性」。
真ん中の人は「助燃性」で、最後の方は「難燃性」とでも言えるでしょうか。
今回の研修では、助燃性の方が圧倒的に多い印象でした。
助燃性の方々が変わっていくために必要とするものは、マネジメントの言葉や後押しです。
「自分が考えて、やる方法を決めて良いんだよ」「私たちがその後押しをするよ」
こうした言葉が、助燃性の方々を可燃性に変えていくきっかけになります。
そうしたメッセージも込めながら、作成したフィードバック資料をインターシステムズ様にお送りしました。
フィードバック資料は事前にお送りしていたものの、長谷川社長のご都合がなかなかつかず、対面でのフィードバックまでにはだいぶ時間が経過してしまいました。
オフィスにお伺いし、研修当日の雰囲気や受講者様の向き合い方、それに基づくScrum Inc. Japanの見解などをお伝えしました。
フィードバックには長谷川社長はじめマネージャー(GM)が参加されました。
最初の一言はみなさん「よく見えていらっしゃいますね」でした。
「当社の社員は、本当にまじめです。
お客様のご要望を丁寧に理解し、責任を持って実践しようとします。私は、その姿勢は当社の大切な強みだと思っています。
そして、これからはその強みを土台に、さらに一歩先を目指したいと考えています。
お客様がなぜその要望を持たれたのか、その背景や本質的な課題まで考え、時にはお客様と一緒に議論しながら、より良い方法をご提案する。
お客様の想像を超える価値を目指していく、そうした仕事の進め方を、スクラムを通じて実現していきたいです。」
長谷川社長からは、そんなお言葉をいただきました。
そして、参加者の皆様の受容性に関してのフィードバックも参考にして頂きながら、パイロットチームを決定し、スクラムでの取り組みを始めていくことになったのです。
続く