Scrum Inc. 研修導入事例:株式会社プログリット様 インタビュー

「型」を全員で学んだから、応用できる。プログリットが経営から採用まで“スクラムの共通言語”で事業を加速させるまで

インタビューの要点

  • 山碕副社長が研修受講後に「全員受けるべきだ」と号令。希望者約20名が即座に手を挙げ、経営陣から現場エンジニアまで全社的な研修受講が実現した。
  • 研修で得た「透明性・検査・適応」の三本柱が共通言語となり、プロダクト開発ではタイムボックスの徹底やステークホルダーを巻き込んだスプリントレビューなど、具体的なプロセス改善が進んでいる。
  • 開発で根づいたスクラムの考え方は、部門長レベルのレトロスペクティブやエンジニア主導の採用チーム運営など、組織全体へと自然に波及している。
左から
株式会社プログリット CTO 島本 大輔様
株式会社プログリット スクラムマスター兼開発者 内田 海斗様
株式会社プログリット インフラエンジニア/エンジニア採用チーム スクラムマスター 稲田 寛様
(以下、敬称略)
インタビュアー:Scrum Inc. Japan 佐藤、庭屋

前回の山碕副社長へのインタビューでは、共同創業者自らがスクラムを学び、経営と開発の共通言語をつくるまでのストーリーを聞いた。本記事では視点を変え、研修を受けた「現場」の声に焦点を当てる。

CTOとしてテクノロジー統括部を率いる島本氏、インフラエンジニアとして運用を担いながら研修後に発足したエンジニア採用チームのスクラムマスターを務める稲田氏、そしてプロダクトチームのスクラムマスター兼開発者として各チームの課題をCTO・PMと橋渡しする内田氏。立場の異なる3名が語るのは、「型」を全員で学んだからこそ生まれた、現場発の変化の実感だ。

手を動かして腹落ちした——研修で得た「原体験」

島本: CTOとしてテクノロジー統括部を見ています。マネジメントや経営的な数値管理、技術方針の決定が主です。スクラム自体には、一部採用チームなどにメンバーとして入ることはありますが、スクラムマスターをやっているわけではありません。

稲田: インフラエンジニアとしてインフラの運用・保守をする傍ら、研修後に発足した「エンジニア採用チーム」のスクラムマスターを務めています。

内田: 「My PROGRIT」という英語コーチング受講生向けのプロダクトを作っているチームのスクラムマスター兼開発者です。また、各プロダクトで連携する「スクラム・オブ・スクラム」のスクラムマスターの代表として、課題をCTOやプロダクトマネージャーと課題を共有するような役割も担っています。

島本: 副社長の山碕が受講した後、「全員受けるべきだ」と発信したのがきっかけです。行きたい人を募ったら、予定が合う人はほぼ全員、あっという間に20名ほどが手を挙げました。

内田: 元々プロダクトチームでスクラムは取り入れていましたが、「正しいスクラム」をきちんと知りたいという動機がありました。

稲田: 前職でもスクラムの経験はありましたが、体系立てて理解していなかったので、「流行りに乗っているだけ」の状態でした。研修で基本が分かったので、ようやく応用ができるようになり、自分事としてとらえられるようになりました。

 

島本: 一番印象的なのは、やはり紙飛行機を作ったアクティビティでしたね。エンジニアではない方も多かったので、言葉だけでは浸透しにくいスクラムの概念が、手を動かすことで実感できました。

焦って作ろうとするとかえって時間がかかるというのが、目に見えて数字で出るのがすごくいい取り組みだと思いました。「ちゃんと段取りを決めておかないと、時間がかえってかかるよね」という実感が湧くアクティビティがなかったら、スクラムの浸透度も違っていたんじゃないかと思います。

内田: 私は、タスクの進捗をボードで管理したことが印象に残っています。紙に書いてボードで見える形で管理するのが楽しかったですし、今もオンライン上の看板を見やすくすることは徹底しています。

稲田: 私が印象に残っているのは、数字や漢字を交互に書くワークです。生成AI時代になり、エンジニアもコンテキストスイッチの嵐に見舞われていますが、スイッチが発生すると効率が下がることを身をもって認識できたのは、非常に勉強になりました。

仕事が早くなった分、「何のために開発しているのか」というスプリントゴールや根源に立ち返る重要性を、常に意識するようになりました。

 

現場に根づいたマインドセット——透明性・確約・勇気

稲田: 日々活かせているのは、「検査・適応・透明性」の3本柱です。この3つがあることで、日常の業務の中で「今、自分たちはこの原則に従えているか」と立ち止まる習慣がつきました。

島本: 僕は透明性ですね。ボードにちゃんとステータスを書く、動かしていくことを全員が意識して、誰でもいつでも検査できる状態にする。問題があれば助けに行ける。その発想が入ったことは、すごく大事だと思っています。

内田: 私が特に大切にしているのは「確約(コミットメント)」と「勇気」です。プランニングでは「完了できる」と確約を持てるものを選ぶようになりました。また、方向性が分からない新しい施策でも、まずはプロトタイプを作ってみるという勇気を持つことを大切にしています。

——「透明性」「確約」「勇気」——それぞれ違うキーワードが出てくるのが興味深いですね。全員が同じ研修を受けたからこそ、それぞれの立場で響く原則が異なるというのは、まさに「型」が応用されている証拠だと思います。

 

「拠り所となる型」がチームの迷いを減らす

島本: チームが急拡大する中で、「拠り所となる型」ができたのが大きいです。以前は「これで合っているのか」という相談が多かったのですが、今はスクラムの基礎に立ち返ることで迷いが減りました。

全員が同じ研修を受けているので、「スクラムガイドではこうだったよね」という会話が自然にできる。それが共通言語として機能していると感じます。

稲田: はい。以前は「なんとなくスクラムっぽいことをやっている」状態でした。研修で「なぜそうするのか」という原則を理解できたことで、自分の現場に合わせてアレンジできるようになりました。「型」があるからこそ、そこからの応用ができるんです。

 

プロダクト開発の進化——タイムボックス、スプリントレビュー、そしてスクラム・オブ・スクラムへ

内田: まず大きかったのは、デイリースクラムの運営が変わったことです。以前は15分を超えてしまうことが多かったのですが、研修でタイムボックスの重要性を学んでからは、課題の棚卸しに集中して時間を守るように意識が変わりました。

内田: はい。これまではチーム内だけで完結していたスプリントレビューに、英語コンサルタント(注:プログリットの英語コーチ)をステークホルダーとして招くようにしています。当社の英語コンサルタントは現場でお客様と直接向き合っている方々ですので、そこからフィードバックをもらうことで、より良いプロダクト作りを目指しています。

 

内田: 各プロダクトのスクラムマスターの代表として、チーム横断の課題をCTOやPMと共有する「スクラム・オブ・スクラム」のような場もできました。各チームが個別に抱えていた課題を組織全体で可視化し、優先順位をつけて解決していく流れができつつあります。

スクラム・オブ・スクラムにてプロダクトごとの課題が共有された際の記録

島本: スクラム・オブ・スクラムがあることで、CTOとしても各チームの状況が見えやすくなりました。まさに透明性が機能している状態です。問題があれば早めに気づけるし、必要な支援も素早く判断できる。これは大きな変化だと思います。

 

開発の外へ広がるスクラム——部門長レトロスペクティブと採用チームの変革

島本: 実は部門長レベルでレトロスペクティブをやっています。半期に1回、4時間くらいかけて「今の部門長としての仕事に無駄はないか」を話し合っています。

それまでは事業の振り返りはしても、仕事のプロセスの振り返りはゼロでした。研修をやったからこそ、みんなに「プロセスを振り返ること」の価値が浸透したんだと思います。

島本: たとえ1日5分くらいのタスクでも「これは他の人に委譲しよう」といった判断ができるようになりました。自分を含む部門長全員のタスクを洗い出してリスト化し、「これはキープ」「これは任せる」と議論しています。仕組みを変えたら委譲できるものも多く、個人的にすごく良いなと思っています。

稲田: エンジニア採用において、以前は人事からの依頼に「やらされ仕事」で対応しており、達成率もほぼ0%でした。研修を受けて、課題の本質は「ワンチームになっていない」という点に気づきました。

そこで、人事とエンジニアを混ぜたチームを作り、スクラムのフレームワークでプロセスを回した結果、現在は計画通りに採用が進むようになりました。「開発の手法」だと思っていたスクラムが、採用という全く違う領域でも機能したのは、自分でも驚きでした。

 

これから受講を考えている方へ

内田: 少しでも良いのでスクラムの実践を試みてから受けると、より深い質問ができ、得られるものが増えると思います。研修は「答えをもらう場」ではなく「問いを深める場」なので、事前に自分なりの疑問を持って臨むと、得られるものが全く違います。

稲田: 私としては、部門長と共に受講したことが非常に価値があると思っています。エンジニアが一人で受講してもその後社内に持ち帰った際、マネージャーの説得がうまくいかず良いものが広がらない可能性があります。今回は部門長とメンバーが共に受講したことで、その後の仕事の進め方が加速する要因になったと感じています。
また、学習自体は本を読むことでもできますが、仲間と一緒に手を動かすフィジカルな体験に価値があります。モヤモヤしているなら、勇気を持って参加してみてください。

島本: 失敗や課題感を持っている人ほど効果が大きいと思います。1日1時間のように少しずつ実施するのではなく、まるまる2日間缶詰めで集中してやるのが一番効果的です。

 

島本: 僕らは日本一を目指しています。今回の研修のように、職種を問わず挑戦や投資を惜しまない会社なので、積極的に学びたい人には最高の環境です。

内田: 職種を越えて、みんなでプロダクトを作ろうという繋がりが強いのがプログリットの強みです。

稲田: プログリットは、「FIVE GRIT」というバリューが浸透しており、課題を共有してプロセスを改善する文化があります。この勢いのまま突き進んでいきたいです。

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